振り向いて欲しい
 私は急いで友美と優子に早退を告げ、着替えた後保健室へ戻った。

 高坂くんは着替え終わっており一緒に歩いて駅へ向かった。カバンは持てる、と一点張りのため私はジャージの袋だけ持ってあげる。なんだか落ち着いたからか何も話せなくなってしまった。無言のまま駅へ向かい電車に乗る。高坂くんも辛いのかいつもと違い笑顔もなく話しかけてこない。 

 駅に着くと、ここまできてもらって悪かったな、と言い私を帰そうとするので責任を持ってジャージをお届けしますと言うとクシャッと笑った。駅から10分のところにある住宅街の一角に高坂くんの家がありとても立派だった。

 私はジャージを渡し、さらに着替えに行ったときに買っておいたポカリを2本カバンから出し渡した。

「お前って意外と力持ちなんだな」
またクシャッと笑った。
 
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