振り向いて欲しい
翌日高坂くんはお休み。
高坂くんのお友達はお見舞いに行こう、とか騒いでいる。
熱があるんだから寝かせておいてあげたらいいのに、と思うけれどもちろん言わない。言えない。

その後2日休んでやっと高坂くんは登校してきた。

私はもちろん話しかけない。心配だけど私が話しかけたら迷惑がかかる。
そんなことを思っていると高坂くんから声をかけられた。

「サーヤマン」

?!なにそれ。私?サーヤマンってなに?

私の驚いた顔を見ていつもの笑顔の高坂くんは
「お前って意外と力持ちだし、困ったときに助けてくれるスーパーマンみたいだから名付けてやったよ」

?!ビックリしすぎて声にならない。そもそもこの前の熱まで私たちは話してなかったんだから。

「サーヤマン、時間割分からなかったから教科書見せて」と机をつけてきた。

高坂くんのお友達は唖然として私を見てくる。

私は教科書は見せたけど休み時間になると慌てて教室を飛び出した。
無理ー!なんだか耐えられない。友美と優子に会いに行かなきゃ。
友美と優子は訳あり顔で見てくるが話したくても休みは短い。渋々教室へ戻るとまた次の教科書も見せて、と。

やっとお昼休みになりいつもの中庭に集合。
そもそも派手なお友達に忠告されたことや今回のことについて説明した。

「別に気にしなくていいんじゃない?サーヤはサーヤのしたいようにすればいいんだよ。あの子らがなんて言おうと教科書見せてって言ってるのは高坂くんなんだし。それを断って見せない、なんてサーヤにできるの?」

そっか…たしかに教科書見せて、と言うのは高坂くん。困ってる人を助けるのに人の目を気にすることはないんだね。

私はなんだか納得しちゃったけど2人は「サーヤが送ってく、ねぇ…春かなぁ」なんて意味わからないこと言ってる。今は夏だよ?

でもそれ以来私のことを「サーヤマン」って呼ぶことに決めたみたい。
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