竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
馬車の中から見る町は、いつものような活気がありませんでした。通りを歩く人もまばら、お店も閉まっているところがほとんどです。嫌な胸騒ぎを覚えるけど、大丈夫、大丈夫と必死に自分に言い聞かせます。大丈夫、いつものようにティア・モーブの裏手で遊ぶアスターの姿に会えるはず。
いつものように忙しくない時間に、ティア・モーブに着きました。
「モーブさん! みんなも、大丈夫ですか!?」
時間がないので店に飛び込むなりモーブさんに話しかけました。休憩中なのか、モーブさんはゆっくりお茶を飲んでいるところでした。
「ああ、ライラかい。私は元気だよ」
「私、は?」
「ラピスが病に罹っちまってね」
「ラピスさんが? じゃあ、アスターは?」
「アスターも、一緒だ」
「ええっ!?」
嫌な胸騒ぎが、当たってしまいました。ラピスさんどころか、アスターまで……。驚きで絶句していると、モーブさんが近況を話してくれました。
「建国記念の日、うちの店も大勢が飲んだり騒いだりしたからねぇ。あっという間に感染さ。私は奥で調理してたから罹らなかったけど、ホールにいるラピスは伝染っちまった」
「ああ……」
「ラピスの両親たちの病もどうやらこれだったようで、まだ患ってるよ」
「アスターが言ってた〝病気〟はこれだったんですね」
以前からちらほらと患者が出ていたけど、それがとうとうパンデミックにまでつながってしまったようです。病状を詳しく聞いてみると、インフルエンザのような感じでした。前世の、医療が発達した世界でも拗らせて重症化することもある病気です。いくら魔法があるとはいえ、この世界では恐ろしい病でしょう。
「竜王様たちが今、必死に対策を考えてくれていますから、モーブさんは自分を守ってくださいね! あ、これお守りに」
私は持ってきていたマスクを数枚、モーブさんに渡しました。
「あんたの顔についてるのと同じやつかい?」
「そうです。少しでも病の元が体に入ってくるのを防いでくれます」
「見慣れないものだけど……ありがたくいただくよ」
「私もう帰らなくちゃなので……手洗いうがいを忘れずに!」
「あ、ああ……」
本当に短い滞在でしたが、送ってきてくれた(そして連れて帰ってもらう)騎士様が『時間、時間』と店の外から睨んでいますので、そろそろお暇します。
ああ、アスターのために何かできることがあればいいのだけど。
いつものように忙しくない時間に、ティア・モーブに着きました。
「モーブさん! みんなも、大丈夫ですか!?」
時間がないので店に飛び込むなりモーブさんに話しかけました。休憩中なのか、モーブさんはゆっくりお茶を飲んでいるところでした。
「ああ、ライラかい。私は元気だよ」
「私、は?」
「ラピスが病に罹っちまってね」
「ラピスさんが? じゃあ、アスターは?」
「アスターも、一緒だ」
「ええっ!?」
嫌な胸騒ぎが、当たってしまいました。ラピスさんどころか、アスターまで……。驚きで絶句していると、モーブさんが近況を話してくれました。
「建国記念の日、うちの店も大勢が飲んだり騒いだりしたからねぇ。あっという間に感染さ。私は奥で調理してたから罹らなかったけど、ホールにいるラピスは伝染っちまった」
「ああ……」
「ラピスの両親たちの病もどうやらこれだったようで、まだ患ってるよ」
「アスターが言ってた〝病気〟はこれだったんですね」
以前からちらほらと患者が出ていたけど、それがとうとうパンデミックにまでつながってしまったようです。病状を詳しく聞いてみると、インフルエンザのような感じでした。前世の、医療が発達した世界でも拗らせて重症化することもある病気です。いくら魔法があるとはいえ、この世界では恐ろしい病でしょう。
「竜王様たちが今、必死に対策を考えてくれていますから、モーブさんは自分を守ってくださいね! あ、これお守りに」
私は持ってきていたマスクを数枚、モーブさんに渡しました。
「あんたの顔についてるのと同じやつかい?」
「そうです。少しでも病の元が体に入ってくるのを防いでくれます」
「見慣れないものだけど……ありがたくいただくよ」
「私もう帰らなくちゃなので……手洗いうがいを忘れずに!」
「あ、ああ……」
本当に短い滞在でしたが、送ってきてくれた(そして連れて帰ってもらう)騎士様が『時間、時間』と店の外から睨んでいますので、そろそろお暇します。
ああ、アスターのために何かできることがあればいいのだけど。