竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
正門から玄関まで、これまた何も起こらず到着しました。
「ええ……何も起こらなかった」
逆に不安になってきた時、玄関の重厚な扉が開きました。今度こそ罠かも。中から兵が……(以下略)と、身構えたのですが。
「お早いお付きで。いらっしゃいませ、ライラック殿」
紳士然とした男の人が出迎えてくれました。
モノクルをつけたこの顔に見覚えがあるんだけど、誰だったっけ……? えっと……あ、そうだアレだ、アレ。女王様専属の魔法使いか、魔術師か、とにかくそんな人だ。女王様至上主義で、女王様以外は人とも思っていない感じが好きじゃなかったのよね。あんまり女王様にくっついてるから、使用人の間では『腰ぎんちゃく』って呼ばれてたわ。本名? 別に知らなくてもオッケー。……確かスプルース様の魔法の授業の時にこの人の名前を思い出せなかったんだけど、こういう理由だったからか。すっかり忘れてました。
「女王様から直々にご指名を受けまして参上しました」
「ええ、聞いておりますよ。遠隔での話し合いの際、私も〝我が君〟のお側におりましたから」
言い方! 『我が君』ってなんやねん。……と言いそうになったけど、飲み込みました。そうだ、この人、こういうちょっと気障ったらしい言い方する人だった。
「女王様には、すぐにお会いできますか?」
「我が君は、むしろライラック様のご到着を心待ちにされておりましたよ」
「え……あ。はい」
嘘でしょ。心待ちにって、それはそれで怖いんですけど。獲物が罠にかかるのを手ぐすね引いて待ちかまえてる感がハンパないんだけど。万事休す? いやいや、行ってみなくちゃわからない。
「我が君は、お部屋でお待ちです」
案内しますと言う〝腰ぎんちゃく〟の後ろについて、私はお城の中に入りました。
「ええ……何も起こらなかった」
逆に不安になってきた時、玄関の重厚な扉が開きました。今度こそ罠かも。中から兵が……(以下略)と、身構えたのですが。
「お早いお付きで。いらっしゃいませ、ライラック殿」
紳士然とした男の人が出迎えてくれました。
モノクルをつけたこの顔に見覚えがあるんだけど、誰だったっけ……? えっと……あ、そうだアレだ、アレ。女王様専属の魔法使いか、魔術師か、とにかくそんな人だ。女王様至上主義で、女王様以外は人とも思っていない感じが好きじゃなかったのよね。あんまり女王様にくっついてるから、使用人の間では『腰ぎんちゃく』って呼ばれてたわ。本名? 別に知らなくてもオッケー。……確かスプルース様の魔法の授業の時にこの人の名前を思い出せなかったんだけど、こういう理由だったからか。すっかり忘れてました。
「女王様から直々にご指名を受けまして参上しました」
「ええ、聞いておりますよ。遠隔での話し合いの際、私も〝我が君〟のお側におりましたから」
言い方! 『我が君』ってなんやねん。……と言いそうになったけど、飲み込みました。そうだ、この人、こういうちょっと気障ったらしい言い方する人だった。
「女王様には、すぐにお会いできますか?」
「我が君は、むしろライラック様のご到着を心待ちにされておりましたよ」
「え……あ。はい」
嘘でしょ。心待ちにって、それはそれで怖いんですけど。獲物が罠にかかるのを手ぐすね引いて待ちかまえてる感がハンパないんだけど。万事休す? いやいや、行ってみなくちゃわからない。
「我が君は、お部屋でお待ちです」
案内しますと言う〝腰ぎんちゃく〟の後ろについて、私はお城の中に入りました。