竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
本編

1・部屋はどこ?

 さて心機一転、また竜王城で働かせてもらえることになりました。
 正直、トープさんのスープ(味噌汁?)を越えられる気がしませんが、まあ、私は私。本家は私(謎名言)。私なりに頑張りましょう。



 久しぶりに戻ってきた厨房は、戻ってこれたとかそういう感傷に浸っている余裕なんてありません。遅いお戻りだった竜王様に合わせた、大至急の晩餐準備にてんやわんやです。挨拶もそこそこに、みんな持ち場に戻っていきました。本当なら私も、みんなが竜王様たちのお食事の準備をしている間に、邪魔にならないところで竜王様にお出しするスープと使用人さん用の賄いを作ってお手伝いしたいところなんだけど。
「すでにスープも賄いもできちゃってるしなあ」
 トープさんに出してもらった味噌汁を食べ終わると、私はやることがなくなってしまいました。なにせ料理以外はポンコツなもので、お手伝いすると逆に仕事を増やしてしまうという……とほほ。でも、忙しそうに動いている厨房のみんなを見ながらぼーっと座ってるのもいたたまれないし。
「あ、そうだ。私も明日の仕込みをしたらいいじゃない」
 そうだそうだ、久しぶりだから前の感覚が鈍っちゃったかな。明日のスープとおやつの準備をしなくっちゃ。しかも次はトープさんの跡を継いだ一発目。ちょっとプレッシャー感じるけど、心を込めて作れば大丈夫よね。それにおやつは久しぶりに作るから、ちゃんとできるかちょっと不安です。ここは失敗知らずのバターケーキ系でいきましょうか……と、その前にお仕着せに着替えてこなくちゃ。厨房で働くメイドたるもの、普段着でお料理するのは衛生上よろしくありません!

 トープさんたちの邪魔にならないよう、私は特に声をかけず、自室へ着替えに行きました。


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