竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
 眠りの森は、吸うと永遠の眠りにつくという毒の霧が常にかかっていているそうなのですが、エフェドラの群生地は森の中に草原のように開けていて、日中は毒霧の影響があまりないそうです。しかし一旦陽が落ちると風の影響なのか、森から霧が広がり覆われてしまうそう。だから明日、霧の影響がなくなる昼頃を狙って転送してもらうことになりました。

「——という感じです」
 部屋に戻り、早速竜王様たちに今日の進展を報告しました。
「しかしあのクッキーの破壊力はヤバかったです。ほんと、下手な毒より効くと思うんですが……ウェルド氏は……」
『…………』
 竜王様が絶句している後ろで、『うわぁ』『無理ですね』という、インディゴ様とスプルース様の声が聞こえています。
『ライラは大丈夫だったのか?』
「私は一枚でギブアップしたのでなんとか」
『そうか』
『しかし、眠りの森ですか……その場所はこちらから遠く離れすぎていて、スプルースの魔法が届かなさそうですね』
『そうだね。ライラの指輪を介しても、ちょっと難しいかな。できる限りのことはするけど』
『そんな危険な場所なのに、ライラ一人で作業させるのは心許(こころもと)ないのですが——」
 インディゴ様やスプルース様も、竜王国からの通信が不安定な地域なことに心配な様子です。
「大丈夫ですよ! 眠りの森は通らないはずです。ウェルド氏が送迎してくれるらしいので」
『本当に、大丈夫か?』
 声から竜王様が心配している感じが伝わってきました。インディゴ様たちに心配されるのとはまた違って、不謹慎だけど嬉しくなりました。だから心配かけないように、私の不安が伝わらないように、努めて明るく答えました。
「はい! 薬草をたくさん摘んで帰ってきますから、待っててください」
『薬草よりも、そなたの身の安全を優先しろ』
「ありがとうございます。大丈夫ですよ。きっと任務は遂行してきます」
 竜王様のために、そして大切な私の友達のために、明日は頑張って薬草摘みまくるんだからね!
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