竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
二人で踵を返し、部屋を出ようとした時でした。
「待って」
女王様が声をかけてきました。振り返ると、女王様もウェルド氏の横で跪いていました。跪くのは、目上の人に対する行為。このプライド高い女王様が跪く姿なんて見たことありませんて! 反省を態度で表してきました。
「我々は急いでいるのだが?」
「このままでは申し訳なさすぎますわ。今回のウェルドの失敗のお詫びと、今まで貴方たちに散々迷惑をかけてきた反省とを込めて、あの土地を譲らせてもらえないかしら」
「あの土地?」
「ええ、エフェドラの草原を含む眠りの森一帯を。せっかく今回竜王様が焼き払って安全な土地にしてくださったけど、あの草原、私たちにはあまり重要じゃないもの。竜王国にある方が重宝するでしょう?」
墾田永年私財法か! ……じゃなくて。確かに女王様の言う通り、竜王国にとっては貴重な場所です。
「竜王様……どうします?」
「そうだな。悪くはない」
「さらに」
「さらに?」
「竜王様としては、ライラに身分があった方が、妃にしやすいと思いますの」
「——どういうことだ?」
女王様の言うことに、眉を顰める竜王様。私の身分? そんなもんありませんけど? 私も首を傾げちゃったわ。
「眠りの森一帯を辺境伯領にして、ライラはそこのお嬢様ということにするのです。持参金は上げられないけど、土地ごと嫁に行けばいいわ」
「————何を企んでいる?」
あまり厚遇すぎて、逆に疑う竜王様。また鋭い視線を女王様に向けましたが、女王様は余裕の笑みを復活させていました。
「おほほほほほ! 疑い深い方ですのね! な〜〜〜んにも企んでおりませんわ。本当に、迷惑をかけたお詫びですのに」
「本当か?」
「ええ。心からのお詫びですわ」
「これが嘘なら、この国を今度こそ滅ぼすぞ」
「構いませんわ」
女王様が深く頷いた時。
「そうか——インディゴ、聞こえていたか」
それまで女王様と話していたはずの竜王様から、いきなりインディゴ様の名前が出たのでびっくりしました。どこどこ? インディゴ様、盗聴中?
『もちろんです。最初からず〜っと聞いてましたよ』
「うぉっ!?」
私の指輪から声が聞こえてきたからびっくりしました。そうか、これを繋いでいたのか。この指輪、そもそも竜王様の一部だから、自由自在に操れるんでしょう。しかも城内は〝圏内〟だし。
「では、今すぐここに来て話を詰めてくれ」
『了解』
インディゴ様が返事するやいなや、部屋の隅に明るい光の塊ができ、インディゴ様とバーガンディーさんが現れました。スプルース様、仕事が早いですね。
「あとはお任せください。きっちりみっちり、話をつけますので」
「気を付けて帰れよ〜。ま、俺たちもすぐ帰るけどな」
頼もしい二人が現れたところでバトンタッチ。今度こそ私たちは竜王国に帰ることにしました。
「待って」
女王様が声をかけてきました。振り返ると、女王様もウェルド氏の横で跪いていました。跪くのは、目上の人に対する行為。このプライド高い女王様が跪く姿なんて見たことありませんて! 反省を態度で表してきました。
「我々は急いでいるのだが?」
「このままでは申し訳なさすぎますわ。今回のウェルドの失敗のお詫びと、今まで貴方たちに散々迷惑をかけてきた反省とを込めて、あの土地を譲らせてもらえないかしら」
「あの土地?」
「ええ、エフェドラの草原を含む眠りの森一帯を。せっかく今回竜王様が焼き払って安全な土地にしてくださったけど、あの草原、私たちにはあまり重要じゃないもの。竜王国にある方が重宝するでしょう?」
墾田永年私財法か! ……じゃなくて。確かに女王様の言う通り、竜王国にとっては貴重な場所です。
「竜王様……どうします?」
「そうだな。悪くはない」
「さらに」
「さらに?」
「竜王様としては、ライラに身分があった方が、妃にしやすいと思いますの」
「——どういうことだ?」
女王様の言うことに、眉を顰める竜王様。私の身分? そんなもんありませんけど? 私も首を傾げちゃったわ。
「眠りの森一帯を辺境伯領にして、ライラはそこのお嬢様ということにするのです。持参金は上げられないけど、土地ごと嫁に行けばいいわ」
「————何を企んでいる?」
あまり厚遇すぎて、逆に疑う竜王様。また鋭い視線を女王様に向けましたが、女王様は余裕の笑みを復活させていました。
「おほほほほほ! 疑い深い方ですのね! な〜〜〜んにも企んでおりませんわ。本当に、迷惑をかけたお詫びですのに」
「本当か?」
「ええ。心からのお詫びですわ」
「これが嘘なら、この国を今度こそ滅ぼすぞ」
「構いませんわ」
女王様が深く頷いた時。
「そうか——インディゴ、聞こえていたか」
それまで女王様と話していたはずの竜王様から、いきなりインディゴ様の名前が出たのでびっくりしました。どこどこ? インディゴ様、盗聴中?
『もちろんです。最初からず〜っと聞いてましたよ』
「うぉっ!?」
私の指輪から声が聞こえてきたからびっくりしました。そうか、これを繋いでいたのか。この指輪、そもそも竜王様の一部だから、自由自在に操れるんでしょう。しかも城内は〝圏内〟だし。
「では、今すぐここに来て話を詰めてくれ」
『了解』
インディゴ様が返事するやいなや、部屋の隅に明るい光の塊ができ、インディゴ様とバーガンディーさんが現れました。スプルース様、仕事が早いですね。
「あとはお任せください。きっちりみっちり、話をつけますので」
「気を付けて帰れよ〜。ま、俺たちもすぐ帰るけどな」
頼もしい二人が現れたところでバトンタッチ。今度こそ私たちは竜王国に帰ることにしました。