竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
「ああああああ。緊張する」
「言いたくないけどさぁ、早く部屋に帰りなよ」
「わかってます。わかってるんだけど、どうしても落ち着かなくて」
「今頃ウィスタリアが困ってるよ」
「はい」
「はぁぁぁぁぁ〜」
盛大なためいくをつくトープさん。今私がいるのは、馴染んだお城の厨房。馴染んだ使用人用のテーブルに居座り、部屋に帰りたくないと駄々をこねる私をトープさんやマゼンタ、その他厨房の使用人さんたちがオロオロしながら見守ってる図、です。
「そろそろ準備しないとさ、間に合わなくなったらどうするの」
「頭ではわかってるんです」
「わかってるんなら早く動きなさいよっ!! 往生際の悪い!」
「ひゃいっ!」
マゼンタに一喝されたところで、バタバタと廊下を走ってくる音が聞こえました。
「ライラ様っ! やはりここにいましたか」
「ウィスタリアさん……見つかっちゃった」
「お支度しないと、結婚式が始まってしまいますよ」
「はい」
そう。今日は竜王様と私の結婚式なんです。
いよいよ……という緊張とか、これからのこととか、なんかいろいろごちゃごちゃになった感情に押しつぶされて、部屋から脱走してしまいました。これが世にいう『マリッジブルー』っていうものかしら?
「そんな考えすぎなくても大丈夫ですよ。ただの儀式なんですから」
しおれる私にウィスタリアさんがクスッと笑いました。結婚式を、ただの儀式って。
「ウィスタリアさんがそんなこと言うとは思わなかった」
「あら、そうですか?」
お茶目に笑うウィスタリアさん。私をリラックスさせようとしてくれたのはわかりますが、意外な一面ですね。
「そうそう。ウィスタリアの言う通りだ。儀式が終わったら、賄いでも食べにおいで」
「トープさん……」
「今日の賄いはトープさん特製だから美味しいよ」
「マゼンタ……いや、私はあっちでご馳走食べる身だっつーの」
結婚式の後はお披露目の宴があって、私はそっちに参加しないといけないのよ。式が終わったからと言って『はい、解散!』じゃないの!
「あら、高貴なご身分はガツガツ食べられなかったんじゃなかったっけ?」
「そうだった」
パーティーの時、たいてい食事なんて食べられないんだったわ。竜王様だって、いつも後から味噌汁食べてる気がする。
「やっぱり賄い食べにくる〜! 私の分、残しておいてくださいね!」
「ライラはそうでなくっちゃ」
私がいつもの調子に戻ったからか、みんな笑っています。
「そうそう。それに、早く支度しないと『特別なお客』が来ちまうよ」
「そうだった! 忘れてたわ」
「うふふふ。大事なのは儀式よりも宴よりも、その先なのですから。さ、儀式なんてさっさと終えてしまいましょう」
「はい!」
笑って気が楽になったので、私は素直にウィスタリアさんと部屋に戻りました。
「言いたくないけどさぁ、早く部屋に帰りなよ」
「わかってます。わかってるんだけど、どうしても落ち着かなくて」
「今頃ウィスタリアが困ってるよ」
「はい」
「はぁぁぁぁぁ〜」
盛大なためいくをつくトープさん。今私がいるのは、馴染んだお城の厨房。馴染んだ使用人用のテーブルに居座り、部屋に帰りたくないと駄々をこねる私をトープさんやマゼンタ、その他厨房の使用人さんたちがオロオロしながら見守ってる図、です。
「そろそろ準備しないとさ、間に合わなくなったらどうするの」
「頭ではわかってるんです」
「わかってるんなら早く動きなさいよっ!! 往生際の悪い!」
「ひゃいっ!」
マゼンタに一喝されたところで、バタバタと廊下を走ってくる音が聞こえました。
「ライラ様っ! やはりここにいましたか」
「ウィスタリアさん……見つかっちゃった」
「お支度しないと、結婚式が始まってしまいますよ」
「はい」
そう。今日は竜王様と私の結婚式なんです。
いよいよ……という緊張とか、これからのこととか、なんかいろいろごちゃごちゃになった感情に押しつぶされて、部屋から脱走してしまいました。これが世にいう『マリッジブルー』っていうものかしら?
「そんな考えすぎなくても大丈夫ですよ。ただの儀式なんですから」
しおれる私にウィスタリアさんがクスッと笑いました。結婚式を、ただの儀式って。
「ウィスタリアさんがそんなこと言うとは思わなかった」
「あら、そうですか?」
お茶目に笑うウィスタリアさん。私をリラックスさせようとしてくれたのはわかりますが、意外な一面ですね。
「そうそう。ウィスタリアの言う通りだ。儀式が終わったら、賄いでも食べにおいで」
「トープさん……」
「今日の賄いはトープさん特製だから美味しいよ」
「マゼンタ……いや、私はあっちでご馳走食べる身だっつーの」
結婚式の後はお披露目の宴があって、私はそっちに参加しないといけないのよ。式が終わったからと言って『はい、解散!』じゃないの!
「あら、高貴なご身分はガツガツ食べられなかったんじゃなかったっけ?」
「そうだった」
パーティーの時、たいてい食事なんて食べられないんだったわ。竜王様だって、いつも後から味噌汁食べてる気がする。
「やっぱり賄い食べにくる〜! 私の分、残しておいてくださいね!」
「ライラはそうでなくっちゃ」
私がいつもの調子に戻ったからか、みんな笑っています。
「そうそう。それに、早く支度しないと『特別なお客』が来ちまうよ」
「そうだった! 忘れてたわ」
「うふふふ。大事なのは儀式よりも宴よりも、その先なのですから。さ、儀式なんてさっさと終えてしまいましょう」
「はい!」
笑って気が楽になったので、私は素直にウィスタリアさんと部屋に戻りました。