竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
 これまで練習してきた時に教わったことを声を出して復唱しながらステップを踏むライラ様。
「こうして陰で努力するところ、すごいと思います」
 私が手拍子でリズムをとっていると、シエナがこっそり囁いてきました。
「ね。いつでも前向きな姿勢、私たちも見習わなきゃ」
 落ち込むこともあるようですが、基本ライラ様はいつでも前向きな考えなので、一緒にいると私たちも感化されていきます。
 ひと通りおさらいが終わると気が済んだようで、ライラ様の動きが止まりました。
「なんとかなるさ、ケセラセラ!」
 どういう意味かは分かりませんが、先ほどよりも表情が明るくなったので、納得がいったのでしょう。
「もうおしまいにしますか?」
「ええ。部屋に戻ってお支度しましょう」
 明るく微笑んでいますし、もう大丈夫でしょう。支度をしにお部屋に戻ろうとした時でした。急に広間の扉が開いたので、一瞬身構えた私とシエナ。ここにライラ様がいることはあまり知られていないはず。不審な者が現れたのなら、お守りするのが私たちの役目です。緊張が走ったのですが、なんと姿を表したのは竜王様ではありませんか。
「直前まで熱心だな」
「竜王様!? 行事はどうされたんですか?」
 緊張が解けた私たちとは逆に、ライラ様はとても驚いたようでした。

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