竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
 しかしまあ、ライラ様とご一緒にいる時の竜王様が甘いのなんの。これがあの『冷徹』と言われた竜王様と同一人物なのでしょうか? これまでまで何人もお付きの侍女たちが辞めさせられるのを見てきましたし、私自身も畏れ多すぎてお近くに寄ることすらありませんでしたが、遠目に見ても竜王様は近寄りがたい雰囲気だったのが……。
「ライラ様と笑い合ってましたね」
「竜王様があんなに心を許しておられるとは」
「ライラ様、すごいですね」
「ねえ」
 一日の仕事終わり。私とシエナはまだ片付けに追われている厨房の片隅で今日の反省会という名の語り合いをしていました。普段はあまり個人的な感想を言い合ったりしないのですが、今日はど〜〜〜しても語り合いたかったんです!
「しかしあの指輪」
「あの時ため息が出そうだったわ」
 竜王様がライラ様に指輪を贈られたのですが、そのシチュエーションのロマンチックだったこと! ダンスのために繋いでいたライラ様の手を持ち上げ、指輪を嵌めたかと思うと、そのまま流れるように指輪にキス。きゃぁぁぁぁぁ!! ……取り乱し、失礼いたしました。とにかく、私たちまでうっとりしてしまいました。ライラ様は突然のことに呆然と言った感じでしたが。少し経って状況をようやく理解した途端の、真っ赤になっているライラ様も可愛くて、仕事中でなければ悶えのたうち回りたいくらいでした。
「完全にふたりだけの世界でしたね」
 私たちの存在……と、シエナが遠い目をしました。
「いいのよ。私たちは壁。もしくは空気なんだから」
「ですね」
 あんな甘いお二人を間近で見れるのは、私たちだけの特権だと思いますよ。
< 168 / 168 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:52

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

竜王様と甘いティータイム
徒然花/著

総文字数/3,598

ファンタジー5ページ

表紙を見る
表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop