竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
 竜王様に無駄な時間を過ごさせないためにもみんなより早くレッスン場に行き、一人でステップの復習をしよう。ウィスタリアさんにそう伝え、広間に行ったらすでに先客がいました。
「竜王様!?」
 私より先にスタンバらないでくださいよ。復習の意味ないじゃないですか。
「ライラのことだ、先に来て練習すると思ってな」
「バレてる!」
 完全に私の行動読まれてました。
「下手くそが一人で練習しても上達は遅いぞ」
「グウの音も出ない」
 ど正論ですね。ディスられてるけど、竜王様の口調が優しいから全然嫌な気持ちにならないし、逆に竜王様の気遣いを感じます。
「ほら」
「はい」
 凹んでる時間ももったいないですからね。促されるまま、前回習ったワルツのステップを踏みました。
「あれ? どうでしたっけ?」
「こうだ」
「先に練習しておいてよかった〜」
「今のうちに失敗しておくんだな」
「はい!」
 私と竜王様だけの足音が響く広間。世界に二人だけになったみたいで、ちょっとロマンチックかも。
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