竜王様、ご飯の時間です and more ！ 〜竜王様と転生メイドのその後〜

　竜王様の執務室の前では、側近の智将インディゴ様や武将のバーガンディーさんも出迎えてくれました。いつも部屋に籠って魔法の研究をしている方がお好きな、術将のスプルース様までいたのには驚きました。
「お帰りなさい、ラファ」
「ああ」
「留守の間の仕事が溜まっていますよ」
「…………」
　竜王様とインディゴ様がお仕事の話を始めたからか、そこから離れたバーガンディーさんが私に寄ってきました。
「よう、帰ってきたのか！」
「すみません、ノコノコ戻ってきてしまいました……」
　側近の皆様を見つけた途端に条件反射で伏せた顔。きっとバーガンディーさんはニヤニヤしているんだろうけど、出奔前にやらかしたことを思うと、側近の皆様の顔を直視できません！
「いえいえ。ライラのおかげで隣国の侵入を防げたんですから気にしないでください」
　竜王様と話していたはずのインディゴ様が声をかけてくださいました。そんな、いいように捉えてくれるなんて……っ！
「それに——」
「？」
「これ以上、王の機嫌が悪いのは耐えられない」
「！」
　スプルース様がしゃべった！　——じゃなくて。

　竜王様、そんなに私のミソシル飲みたかったの！？

　バッと顔を上げて竜王様を見たけど、私に背を向けていて、どんな顔してるかわかりませんでした。
「行くぞ」
「はい！」
　ちょっと不機嫌そうな声は、照れ隠し？　ま、そんなことはないだろけど。
　私は竜王様に続いて、執務室に入りました。