竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
 扉が開くと、ざわめきや音楽が一斉に止まりました。そして集中する視線! お客様全ての顔に書いてあります『誰やアレ』。ええ、ええ、そうでしょうとも。ポッと出のにわか令嬢ですよ。しかしここで怯むわけにはいきません。竜王様のメンツを潰すわけにはいかないんでね!
 今日はお稽古の発表会と思って頑張りましょう。まずはウォーキングからですか? ばっちこいだ。いつもよりゆったりと歩いてくれている竜王様に合わせて、微笑みは絶やさず、前を見て。うんうん、いい感じです。
 そしてそのまま案内されたのは、なんと竜王様の隣の席でした。会場よりも数段高いところに設られた玉座とゲスト席は、会場全体がよく見渡せます。ということは逆に、会場内から私も丸見えってことだけど。『いや、高砂かい!』というツッコミが喉から出かけたけど、これは自重。ああ。一瞬も気が抜けないわ。
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