地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
あれ? 一回だけじゃないの?
そう思いながらも黙っていると、続いてこめかみ、額と唇が触れる。
チュッチュッ、とわざわざリップ音まで鳴らして。
「っちょ! 日高くん?」
非難すると、そうお前が言ったんだと言わんばかりに「口じゃなければ良いんだろ?」と言って、今度は耳たぶに触れる。
チュッと言う音が更にハッキリ聞こえて恥ずかしさが最高潮に達した。
「も、もう良いでしょ?」
そう言って肩を強めに押すと、離れてくれる。
でもニッと笑って「残念」と口にした日高くんは、獲物を捕らえた様な目をしていた。
あ、逃げられない。
そのときあたしは、日高くんの作った檻にでも閉じ込められたような、逃げられない状態にされたような気がした。