地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
 でも日高はついてこない。

 あたしは振り返って言った。


「来なさいよ、あんたの髪切ったげるから」

「いや、俺は別のところで切るから……」

 渋る日高にため息を吐きつつ、重ねて言う。


「ここは場所貸してもらうだけで切るのはあたしだからタダだよ。それにバッサリ切ったりしないから安心して。……あんたの顔が実は良いってことも気付いてるから、来なよ」

 踏ん切りをつけてもらうために、最後の言葉を付け加える。

 すると今度は本気でビックリした様で驚きの表情のまま固まってしまった。


 いくら隠していたって、顔の形が変わる訳じゃないんだから深く関わっている人間がいつまでも気付かない訳ないじゃない。

 まあ、相当鈍感なら気付かないかも知れないけれど。


「ほら、入って。それ以上伸びると校則に引っかかって指導されちゃうでしょ?」

 そう言うと、渋々といった様子だけど中に入ってくれた。
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