地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜

 皆の視線が声を上げた一人に集中する。


「違うって、言ってるのにっ!」

 叫ぶ彼女を見て驚く。

 こんな風に感情を(さら)け出して叫ぶ姿を初めて見たから。


「宮野さん……」

 花田くんが戸惑いながら彼女の名前を呼んだ。


「ちょっと、どうし――」

「何やってるの? もうすぐ消灯時間よ!? 早く部屋に戻りなさい!」

 美智留ちゃんがどうしたのか聞こうとすると、見回りをしていたらしい先生に叫ばれてしまう。


 どうするべきかと一瞬迷ったけれど、さくらちゃんが目に涙を溜めながら花田くんを睨むと踵を返して歩いて行ってしまった。

「あ、さくら!」

 追いかける美智留ちゃん。

 あたしと沙良ちゃんも放っておけなくて、すぐに追いかけた。
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