地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
 そうして少しして落ち着くと、陸斗はまた大きなため息をついた。

 やっぱり少しおかしい。

「陸斗、どうしたの? さっきからちょっと様子がおかしくない?」

 目を見て聞くと、その視線を逸らされた。


「あー……まあ、その……」

 陸斗は目を逸らしたままもごもごとハッキリしなかったけれど、ポツリポツリと話してくれる。


「お前が他のヤツをメイクしてるとこ、見てるのはちょっとストレスだったから……」

「え?」

 思ってもみなかった言葉にただ驚く。


 あたしがメイクすることが誰かの負担になるなんてこと、思ったこともなかった。

「え? え? どうして?」

 ただただ疑問で、理由を聞くしか出来ない。

「お前にメイクされたヤツは多かれ少なかれお前に()かれる。お前の真剣さに圧倒されて、その真剣な顔が自分だけに向けられてるって状況は何て言うか……グッとくるんだよ。でも彼氏としては、他のヤツがそうやってお前に惹かれるのを見るのは結構辛い」
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