地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
「そう、だったの？」

　ショックだった。

　陸斗にそう思われていたことが、じゃない。
　陸斗がそう思っていたことに全く気付かなかったことがだ。


　陸斗がそんな風にストレスを感じてることにも気付かず、あたしは色んな人にメイク出来て楽しいとしか思っていなかった。

　好きな人に、辛い思いをさせている何てこれっぽっちも思っていなかった。


　悔しさと罪悪感に項垂れてしまう。


　でも、陸斗はそんなあたしの頬を包むようにして上向かせる。

　目の前には、優しい目をした笑顔の彼がいた。


「勘違いするなよ？　俺がストレスを感じるからって、お前がメイクを止める必要はねぇんだからな？」

「え？」

　メイクを止めるつもりはない。
　それがなくなればあたしはあたしじゃなくなる。

　でも、陸斗がストレスに思うのなら控えた方が良いかもとは思い始めていた。

　それを見透かされてしまったみたい。
< 505 / 600 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop