地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
 混乱しながらもずっと日高くんを見ていたら、こちらを見た彼と目が合う。


 探る様な……いや違う。

 獲物を逃がさないように観察している目だ。

 逃げようとしたらその瞬間食らいついて来る様な、そんな肉食獣の様な目。


 あたしは蛇に睨まれたカエル状態で動けなかった。

 身構えて、ただ日高くんが近付いて来るのを待つしか出来ない。


 唇近くの傷から流れた血を指で拭う。

 (あや)しく、(あで)やかささえも感じる仕草にクラクラした。


「なぁ……俺の秘密、知っちゃった?」

 近付いて目の前でしゃがんだ日高くんは、口調をわずかにいつものものに戻してそう言った。

 肉食獣の目はそのままで、弧を描いた口元に視線が釘付けになる。


「俺とヒミツの関係、なってよ?」


 甘く誘惑するようなその言葉に、あたしは……。

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