桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
落ち込んでしまい彼の運んできてくれていたアイスティーをじっと見つめてた。すると匡介さんの片手が伸びてきて、その大きな手のひらがそっと私のそれに重ねられる。
こういう行動で、やはり匡介さんが私に気と使ってくれているのが分かる。そう……ちゃんと分かっているのに。
「私では、足手まといですよね……」
こうやって拗ねたような態度をとってしまう、本当に可愛げのない妻だ。大人しく彼に「分かりました」と言えない自分が嫌になる。
嫌われるのが怖い、契約終了に時を恐れているのに肝心の自分の言動はこんな風で。
「匡介さんだって私なんか妻では不便でしょう、もっと鏡谷の御曹司に相応しい妻であれば……」
どんどん考えている事が醜くなっていく、自分のもつ病気だけが理由じゃない。このままじゃ大きなコンプレックスに潰されてしまいそうだった。
誰でもいいから自分の子の言葉を止めて欲しい、そう思った時だった。匡介さんの指が私の唇に触れたのは。
驚きで私も言葉の続きを言うことが出来ない、まっすぐに見つめられて瞳も逸らせなかった。
「杏凛、俺は君が妻で不便だなんて思ったことは無い。杏凛は鏡谷家の妻として相応しくある必要はないんだ、ただ君のままで俺の傍にさえいてくれれば」
「匡介さん……」
「それに君が俺の手伝いをしたいというのなら、それも何か方法を考える。それでは駄目だろうか……?」