桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
奥の扉を開けて馬場さんが笑顔で私を手招きする、部外者の私が勝手にこんな所まで入っていいのかと戸惑いながらもその部屋の中へ。
休憩室だろうか? さほど広くないが部屋の中はスッキリと整理されていて、テーブルと椅子が並べられている。壁には二人掛けのソファーが置かれ、自販機が設置されていた。
「あの、ここに何か……あ」
馬場さんに問いかけようとした時、可愛らしい鳴き声が聞こえて言葉を止める。すぐに鳴き声のした方をもう一度見てみると、大き目の窓の近くに可愛らしい鳥籠が。
中には黄色と水色の綺麗な二匹の鳥の姿、小動物を見るのは久しぶりだったこともあり一気にテンションが上がる。
「馬場さん、小鳥さんをもう少し近くで見ても大丈夫ですか?」
「うふふ、もちろんよ。この子たちはね、うちのマスコットのセキセイインコ。青い方がオスのルク、そして黄色い方はメスのマナっていうの。それで……」
馬場さんに許可をもらってさっそく鳥籠の傍に立ち、ルク君とマナちゃんをじっと眺めてしまう。人に慣れているのか、二匹は驚いた様子も見せず仲良さそうにじゃれあっているみたいだ。
可愛いなあ、とじっと眺めていると私の肩にそっと大きな手のひらが乗せられた。それが誰なのかはすぐに分かって……
「どうだ? 杏凛は子供の頃は小動物が好きだっただろう?」
「……匡介さん」