桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
私は発作が起こるようになってからというもの、周りが気を使う事もありペットを飼ったりしなくなった。それでも彼の言う通り、それまでは動物に関わる事が好きだったのだけど。
「そんなことまでしっかりと覚えているんですね、周りの人は私を動物嫌いだと思っていたりするのに」
「ああ、君の事だからな。杏凛の好きなもの、嫌いなものを覚えることくらいしかあの頃の俺にできる事は無かったんだ」
匡介さんはそんな風に言うけれど、彼の事を嫌われていると思って何も知ろうとしなかった私とは全然違う。
勝手に苦手意識をもってこの人から隠れようとばかりしていた私なのに、きっと気付いていても何も責めたりせず見守ってくれていたに違いない。
「ごめんなさい、匡介さん。私ずっとあなたが私を見ているのを違う意味に捉えていて……」
「そんなことを杏凛が気にする必要はない、昔から言葉足らずだった俺が悪いんだから」
匡介さんはこうやって私に謝ろうともさせてくれない。強面なのは彼の見た目だけで、知れば知るほど優しさ溢れる人だと思い知らされる。
「杏凛、どうした。どこか具合でも……?」
黙ってしまった私を匡介さんが心配そうに覗き込んでくる、こうやっていつもこの人は私のことを気にしてくれてる。
分かっている、それなのに私は……