桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
ちょっとだけ悪戯が成功したような笑みを見せて、馬場さんは私からパスケースを取り上げる。確かにこんな秘密を勝手に教えたとバレたら、馬場さんが匡介さんに怒られてしまうかも……
私はコクコクと頷いて、この事を匡介さんに問い詰めないと約束した。けれどこのパスケースの話をせずに、どうやって匡介さんの気持ちを確かめればいいのか分からない。
「馬場さんなら相手の気持ちを確かめたいとき、どんな方法を使いますか? 私、この年でちゃんとした恋愛経験が無くて……」
「そんなの直球よ? 私のこと好き、ってハッキリ聞いちゃうわね」
どうやら馬場さんは恋愛もスパッとしているみたい、私みたいにいつまでもウジウジしたりはしないのでしょうね。自分に自信が無いからいつも遠回しな言葉で相手の反応ばかり気にしてる、そういう自分は嫌いなのに。
「ほーら、ちょうど匡介も戻ってきてるわ。この話はまたゆっくり二人の時にしてみるのね」
「……はい」
馬場さんがそう言ってすぐに扉が開き、匡介さんが室内へと入ってくる。さっきのパスケースの写真を見たせいか少し緊張してしまう。
「おかえり、頼んでいたものは見つかった?」
「ああ、これでいいんだろう? 杏凛に余計な事を吹き込んだりしてないだろうな」
匡介さんは片手で持っていた紙袋を馬場さんに渡した後、ゆっくりと私の隣へと移動してくる。彼にとってそれが当たり前の立ち位置だと言うように。