桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「まさか、少しだけ女同士の他愛ない話をしていただけよ。それとも何、匡介には杏凛さんに話されて困るような何かがあるのかしら?」
匡介さんの言葉に馬場さんは決して怯んだりしない、それどころか余裕で彼に言い返している。私ではこんな風に匡介さんと会話出来ないのに、彼と軽口を叩ける馬場さんが少しだけ羨ましく感じてしまう。
「そんなわけないだろ、そうやって誤解を生むような言い方をするのは止めろ」
「はいはーい。まあ、二人とも座ってインコの赤ちゃんでも見ててよ、私はお茶の用意をしてくるから」
匡介さんからの説教などゴメンだと言うように、さっさと部屋から出て行ってしまう馬場さん。その彼女がチラリと私を見て微笑んだのは、私に頑張れと言っているのかもしれない。
「全く、アイツはいつもこうなんだ。もしかして杏凛が困るようなことを言ったりしなかったか?」
ソファーに私を座らせ、その隣に腰かけた匡介さんは大きなため息をついている。どうやら彼はいつも馬場さんに振り回されてしまっているのでしょうね。
けれど馬場さんのおかげで、私はほんの少しだけどこれからの自分たちの関係に希望を見つけれそうなの。
「いいえ、馬場さんは私のことを考えて話をしてくれました。とても素敵な女性だと思います」
「そうか……アイツが?」
匡介さんは不思議そうにしていたが、それでいいのだと思う。きっと馬場さんも彼に本当の彼女の優しさを知られるのはテレくさいと思っているでしょうから。
「それより匡介さん、私は貴方にハッキリと聞いておきたい事があって……」