桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
契約結婚でも変わる努力を
「……へえ、そうだったの。上手く甘えることが出来て良かったわね、月菜さん」
今日は香津美さんや月菜さんと過ごせる料理教室の日、具材の皮を剥きながらきゃあきゃあと女子トークをする二人が意外と楽しそうで。私はどうやってその会話に入ろうかと悩んでいたり。
それにしても余程良い事があったのか、月菜さんはその頬を紅色に染めて香津美さんに揶揄われているようで。
「はい、香津美さんのアドバイスが取っても役に立って。自分が柚瑠木さんにして欲しいと思ったことをちゃんと伝えることが出来たんです」
「それは良かったわ。勇気を出した月菜さんの頑張りが柚瑠木さんにも通じたのね」
姉が妹にするように、香津美さんは月菜さんの頭を優しく撫でている。私もこんな二人を見ていると、妹が欲しくなりそうになったりして。
でも彼女たちの会話に気になる部分があって、勇気を出していつもより二人に近づくとその会話に割り込んでみた。
「あの……具体的にはどんなふうに旦那さんに甘えてみたのか、聞いてもいいでしょうか?」
「……え? 杏凛さん、貴女も匡介さんに甘えられないでいるの?」
突然私が話に入ってきたことで驚いた顔をする香津美さん。だけども私の発言もしっかり聞かれてしまって、いまさら誤魔化しようがない。
結婚生活について周りの人に尋ねる事なんて出来なかったから、私にしてはかなり頑張ったんだけど……
「あ、ごめんなさい! 私なんかが勝手に話に割り込んでは駄目ですよね……でも、私も夫への甘え方が知りたくて」
このメンバーの中では私が一番年上、本当ならば私が彼女たちの相談に乗ったりするべきなのに。自分はまだ匡介さんとのどこかぎこちない結婚生活でいっぱいいっぱいだから。
「駄目なんかじゃないわよね、月菜さん。それじゃあ、ゆっくり三人でお話ししましょうか?」
香津美さんは笑顔私たちに「任せて」とだけ言うと、あっという間に匡介さんや二人の旦那さんからも許可をもらって三人でお茶する時間を作ってくれたのだった。