桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「忙しいのにわざわざ迎えに来てくださってありがとうございます」
「ああ、そんなこと君は気にしなくていい」
こうして夫婦で隣同士を歩いているのに、やはり二人の会話はどこかよそよそしい。匡介さんの考えている事がもっと分かればいいのに。
私が契約結婚でも彼の妻だから、持病を持っていていつ発作が出るか分からないから、もしくは特別な感情があり傍にいたいから……こうやって迎えに来てくれることにどんな意味があるのか、まだ聞くことは出来ない。
それでも……
「今日は驚きました、月菜さんの旦那さんも迎えに来られて……後ろには狭山さんもいらっしゃったし。みんなで一緒に来られたんですか?」
まずはお互いの会話を増やすこと、それが香津美さんと月菜さんがくれたアドバイスだった。いきなり大きな行動を起こすより、匡介さんとはゆっくり距離を縮めていった方が良いと。
私は彼が望むように上手く甘えられるようにはなれないかもしれない。だけど自分を、匡介さんを……この契約結婚を変えていく努力がしたい。
「……いや、俺があの店の前で杏凛を待っていたら二階堂と狭山がやってきた。あいつ等も時間まで同じ場所で待つと言い出して」
「そうだったんですね」
確かに匡介さんが仕事以外で誰かと一緒に居るところは想像出来ない。だけど何となく二階堂さんや狭山さんとなら匡介さんも上手く付き合えるんじゃないかって思えたりして。