桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「ポストにこれが?」
いつもより早く帰ってきた匡介さんに、ポストに入っていた白い封筒と中身の天然石を渡して見てもらっている。
封筒のあて名は私になっていたが、何度見ても封筒と天然石に心当たりがなかったから。
「昨日の夕方にも確認したので、入れられたのは今日だと思うんですが。差出人も分からなくて少し気持ちが悪くて……」
どこにでも売ってあるような天然石だし、さほど気にする事はない。匡介さんはきっとそう言ってくれると思ってたのに、石を見つめていた匡介さんの表情が一瞬で変わる。
普段から仏頂面ではあるがそれとは違う、まるで親の敵にでもあったかに様に殺気立っているような気がした。
「……やはり、来たのか」
「匡介さん、今なんて?」
彼の呟きは私には聞こえなかった、聞き返したが匡介さんはそれに答えることなく封筒と天然石を袋に入れて自身の鞄の中へと入れた。
「匡介さん、何がどうなっているのかちゃんと話してください。封筒は私宛なんですよね?」
「その必要はない。それより杏凛、これから外出する時は必ず俺か寧々と一緒に行くんだ」
匡介さんは封筒と石に心当たりがあるのに、私には何も話そうとしてくれない。この二つは私に届けられたもののはずなのに……
彼の態度にムッとした私は、いつものように黙っていう事を聞く気になれなかった。
「嫌です、きちんと理由を話してもらうまで私も匡介さんの言う事を聞くつもりはありません」