桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
自室にこもってベッドに腰掛けると、さっきの匡介さんへの酷い態度ばかりが頭の中で回る。どうしてあんな言葉を投げつけてしまったんだろう、匡介さんがそんな風に私に言った事なんて一度もないのに……
もしかしたら彼が私の部屋をノックするかもしれない、そんな事あるわけないと言いに来てくれるかもしれない。そんな期待もしたけれど、彼の足音はこの部屋には近づくことなく寝室の方へと向かっていった。
「どう考えても私が悪いものね、匡介さんだってきっと怒っているはずよ」
彼が私を甘やかしてばかりだったから、気付かないうちに我儘になっていたのかもしれない。匡介さんに妻として寄り添う努力をしたいと思っていたのに、そんな気持ちとは逆に現実は上手くいかない。
匡介さんが私から取り上げた封筒と天然石、あれが何を意味するのかは分からないがきっと良い事ではないはず。
何も分からない事への不安と、これから先への恐怖……考え始めると寒気がした気がしてふるりと身体を震わせる。
「せめてこんな日は傍にいて欲しいことくらい分かって……」
ベッド横の壁に両手をついて、コツンと頭をぶつける。この壁の向こうは寝室、きっと匡介さんも今頃後悔してるのかもしれない。
二人で暮らし始めてから、こんなに匡介さんとの距離が切なく感じたのは初めてだった————