桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
今日に限って寧々が一緒に匡介さんの帰りを待っていると言ったが、今夜は雷雨だと天気予報は言っていたので無理やり帰ってもらった。
今夜が雷雨なら、匡介さんと話をするのは難しいかもしれない。私は前からどうも雨の音や雷が苦手だから。
昼間は明るかった空も、夕方くらいには曇り空に代わり今はもう真っ暗だ。匡介さんは何時頃帰ってくるだろう? 今夜も昨日のように部屋に一人にされたくない……
そんな私の気持ちが彼に通じたように、玄関の扉の開く音がした。
私は椅子から立ち上がり、急いで玄関へ向かう。いつの間にか雨が降り出していたらしく、匡介さんはハンカチでスーツの水滴を拭っている。
「匡介さん、おかえりなさい。もう降ってきたんですね、お風呂に先に入りますか?」
「ああ、そうさせてもらう。悪いが鞄を書斎に持っていってくれ」
そう言って鞄を差し出すと。匡介さんはさっさとバスルームへと行ってしまった。私は鞄を書斎に運んだあと、彼の着替えを用意し脱衣所へと置いておいた。
「……着替えの用意をありがとう、杏凛は入らなくていいのか?」
しばらくしてリビングに入って来た匡介さんにそう聞かれる。私はグラスにミネラルウォーターを注いで彼に渡しながら
「はい、これから入らせていただきます」
とだけ答えておいた。窓からは少しずつ強くなっていく雨音が聞こえる、早くお風呂を済ませておかなかった事を後悔していた。
その後、私はビクビクしてお風呂に入りゆっくり湯船につかる事もせずリビングへと戻っていった。