桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
今までの匡介さんが私にしてくれたことが嫌だったわけじゃない。
だけどその優しさばかりを受け取るだけの妻でいたくなかった。与えられる優しさや思いやりを同じように彼に返したい、そういう夫婦になりたかった。
「しかし、それでは杏凛の負担が大きいのではないだろうか? 君の病気の事だって考えると……」
匡介さんの言葉を聞いて、私は軽く首を傾げる。匡介さんの我儘が私の負担になるって、彼はそんなに私に我儘を言いたいのだろうか?
今まで私を無理させないように過保護な意見を言う以外はそんなこと言われたことない気がするけど……
「私の病気が匡介さんの我儘で変わるとは思えません、むしろ結婚して発作の回数は減りました。それに病気を理由にして欲しくありません」
多分匡介さんが私に過保護だったりするのは病気と発作だけが理由ではない気がする。だけど、それを聞いてはいけない気がして余計な事は言わないでおいた。
「杏凛……、君がそう言うのなら。本当に俺が我儘だと思ったら嫌だと言ってほしい、それだけは約束してくれ」
「……はい、わかりました。嫌だと思う事はちゃんと言うようにします」
ずいぶん悩んだようだったけれど、匡介さんは私の意思を尊重してくれた。これでまた私たち夫婦は、少しだけ前に進むことが出来た気がする。
それに……匡介さんが私にどんな我儘を言ってくれるのか少しワクワクもしていた。