桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
考えてみれば私には理想の夫婦像があって、自分を変える努力をあまりせずに匡介さんだけに変わってもらおうとしてるのかもしれない。
無口で奥手な彼が私の前ではたくさん話し、色んな行動で表しているのは分かってるのに。
「じゃあ私はこれからどうすればいいの? 何を言っても匡介さんを困らせてるみたいだし……」
パッと見意図なしいと言われがちな私だが、前に匡介さんが言っていた通り意外と行動力がある。
自分の病気の事もあり無理はしないようにしているが、一度こうしなきゃと思ったらもう止まらなくなってしまう。
「我儘言うのが怖ければ行動で示せばいいんです、例えば……杏凛様から旦那様に瞳を閉じてキスを強請ってみる、とか?」
「き、キスですって!? なんてことを言うのよ、寧々! そんな事をあの人相手に出来るわけがないでしょう!」
顔に火がついたような熱さを感じて、普段出さないような大声で寧々の提案を却下する。やっと昨日夫婦として抱きしめ合えたばかりなのだ、口付けなんて早すぎるわ!
ジロリとにらんで見せても寧々は気にもせず、洗濯物を畳みながら話を続けた。
「喜ぶと思いますけどね、旦那様は。それが駄目なら……プレゼントなんてどうです?」
「……なるほど、それは良い考えかもしれないわね」
結婚する前、結婚してからと私は何度か匡介さんからプレゼントをもらっている。小さなアクセサリーや綺麗な貝の瓶など。大切に机の引き出しに取っておいている。
お返しにちょっとしたお菓子くらいは渡していたが、私からプレゼントを贈ったことはない。
「ありがとう、寧々。プレゼントを選ぶときは付いて来てくれる?」
「ええ、もちろんですよ。旦那様が驚くようなものを選びましょうね」
そんな話で大いに盛り上がって、いつも通り寧々は仕事を終えて帰って行った。