桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜


 寧々(ねね)が帰ってから、私は外に出る準備をする。
 今日はここ最近の楽しみである料理教室の日。また香津美(かつみ)さんや月菜(つきな)さんといろんな話が出来るかもしれないと、ワクワクしていたのだけど……

杏凛(あんり)、君のスマホが鳴っている」

「え? ああ、本当ですね。すみません、ありがとうございます」

 リビングに置いたままだったスマホの音の気付いた匡介(きょうすけ)さんが、わざわざ持ってきてくれて。手渡されたスマホのディスプレイを確認すると、香津美さんからのメッセージが入っていた。

『今日は残業で遅くなりそうなので、料理教室はお休みします。月菜さんの事をよろしくね』

 と、分かりやすい内容の香津美さんからのメッセージ。いつも料理教室を楽しみにしている香津美さんにしては珍しい、そう思いながら私は匡介さんと家を出た。

「もうそろそろ送り迎えは無くてもいいのではないかしら? こうして友人も出来たしそんなに心配しなくても……」

 家から料理教室までそう距離はない、今だって歩いて行っているくらいで。それでも匡介さんが私の問いに首を縦に振る事はなく、彼の送迎は続いている。

「用心するに越したことはない、柚瑠木(ゆるぎ)聖壱(せいいち)も帰りは妻の迎えに来ると言っていた。君だけを一人にするわけにはいかない」

 香津美さんと月菜さんは有名なヒルズに住んでいて、ここからは少し距離がある。迎えに来るのもおかしくないけど……それを言っても匡介さんには意味が無いから諦めた。


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