桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「そうでしたか、昨日はそんなことが……」
昨日の話を詳しく聞いた寧々は、私を安心させるかのようにそっと自分の手を私のそれに重ねてきた。
寧々は私が不安な時はいつもこうして傍にいてくれる、どれだけ私が彼女に救われているだろうか。
だから今日は少しだけ勇気を出して前に進む努力をしようと思っている。
「ねえ、寧々。私の発作とアクセサリーに使うような天然石、何か関係があるのかもしれないわ」
「杏凛様、それはどういう……?」
私は発作の出始めた頃の事を良く知らない。知らないというよりある一定期間の出来事を全く覚えていないと言った方が正しい。
その事について両親に何度も問い詰めたが、何も変わったことはなかったの一点張りで。
「私の発作が出るようになった時の事を寧々は知らないのよね?」
寧々は私の記憶の無い時期の後に雇われた使用人で、その当時いたはずの使用人はほとんど辞めてしまっていた。
ずっと気になっていたけど、それも自分の記憶がない事と何か関係あるのかと……
「はい、私は杏凛様にちょっとした記憶障害が起きたのだとしか聞いていませんでした」
やはり寧々も他の使用人と同じような事しか聞かされていないみたい。一度実家の両親のもとに話を聞きに行くべきか迷っていると……