桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「あん、り……?」
鳩が豆鉄砲を食らった顔、というのはこういうのを言うのかしら? なんてことを私は意外と冷静な頭で考えていた。驚いて頬をに手をあてている匡介さんを私は思い切り睨んで見せる。
私の何を分かっているつもりですって? 本気でそう思ってるのなら、匡介さんは鈍感にもほどがある。
「笑わせないで、匡介さんは私の事を少しも分かってなんていないじゃない!」
確かにこの契約結婚を受けなければ、私は祖父の会社が倒産するんだと思ってた。そのためには匡介さんとの結婚するしか方法が無いんだと。
でも両親も祖父も私の事を一番に考え、無理はしなくていいといった。この話を断る事だって私には出来たの、それでも私は……
「貴方の視線が苦手だったのは本当よ、だって匡介さんはいつも私を睨んでたから。でも匡介さんの傍にいる事を嫌だと思ったりしたことなんてない。むしろ傍にいてもっと……」
そのまま言葉を続けていいものか悩む。これってもしかして私からの告白になってしまうのではないだろうか、匡介さんにとって迷惑な行動になるのかもしれないと。
匡介さんはいつも私を優先するのだが、自分の気持ちについては何も教えてくれないから。
「……もっと? その続きを聞かせてくれ、杏凛」
「……匡介さんの傍にいるうちに、もっと貴方を知りたいと思うようになったのよ」