桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「嘘、だろう? 君は俺の事を嫌って……」
信じられない、そう言わんばかりの顔を今日はたくさん見せてもらってる。人間らしい匡介さんのそんな表情が私は意外と好きみたい。
確かに私はずっと匡介さんが苦手だった、鋭い視線は私を嫌ってるからなのだと思い込んでたから。でも今は違う、そんなあなたの視線は私を心配する気持ちから来ていたものなんだって。
「嘘なんかつきません、私は匡介さんが好き。あなたに恋してます、この気持ちを隠せないくらい」
「俺に、恋してる? 杏凛が?」
何度も確かめる匡介さんに何だかおかしくなってしまう、でも今はまだ笑っちゃダメ。この気持ちを真剣に伝えるのが一番大事だから。
「はい、恋してます。だから匡介さんの気持ちも教えてください。私のためになんていらないんです、あなたの本心が知りたい」
「……俺の、本心? それを君は受け入れてくれるのか?」
まだ迷いがあるのか、匡介さんは未だにハッキリとした答えをくれない。焦れる気持ちもあるけれど、それでもちゃんと彼の言葉が欲しいから。
「全部受け止めます、私に受け止めさせてください」
「……君が、好きだ。俺は杏凛だけをずっと愛している」
……その匡介さんのたった一言で、涙が溢れて止まらなくなった。嬉しくて胸がいっぱいでこんなにも堪らない気持ちになる。