桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「おかえりなさい、匡介さん」
それはいつもと変わらない週末のはずだった。仕事を終えて帰ってきた匡介さんの手には鞄と別に持たれた白い箱。それを彼は私に黙って差し出してみせる。
「え? あの、これって……」
箱からは甘い香りがして、その中身がスイーツであることはすぐに分かった。時計を見ればもう十時近くで、こんな遅い時間に空いているお店があったのかしら? なんて思ってしまう。
今までこんな風にスイーツを買ってくることなんて一度も無かった、甘い物が好きなのは知ってたから私が先に用意している事はあったけど。
「先に風呂に入ってくる、準備しておいてくれ」
それだけ言うと匡介さんはそのまま寝室の中へ、私は大きな箱を持ってキッチンへと向かった。
「ホールケーキ? それもこんな大きな」
箱を開けて出てきたのはフルーツのたくさん乗った大きなホールケーキ、二人では食べきれるかどうかも怪しいくらいのサイズ。
今日は何かの記念日だったかしら? 私の誕生日でもないし、匡介さんのそれとも違う。首を傾げながら私はケーキを切るナイフとお皿、フォークをテーブルに用意した。
しばらく待つと匡介さんがお風呂から上がってパジャマ姿で出てきた。まだ少し濡れた髪が色っぽくてドキドキしてしまうのは、やはり彼に恋をしているからなのでしょうね。