桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
すぐに私たちのテーブルまで来たウエイトレスに匡介さんはメニューを指差して二人分の注文を済ませる。私が選んだのは二種のベリーのハニートースト、匡介さんは相変わらずの仏頂面で何を頼んだのかしら?
そんな事ばかりを考えていると、彼が私の事をジッと見つめている事に気付く。もしかして何かおかしなところでもあるのかと、身の回りを確認するが特に変わった所は見当たらない。
「あの、えっと……匡介さん?」
「なんだ?」
「いえ、何でもありません……」
昔から顔なじみとはいえほとんど話したことも無かった私達が結婚しても、やはりお互いに距離を感じてしまうのは仕方のない事で。想像していた通りの、言いたいこともはっきりと口にする事の出来ないような形だけの夫婦でしかない。
……そう、そのはずなのに。
「杏凛、君は普段は寧々とどんな話をしているんだ? 今日も彼女と楽しそうに何か話していただろう」
「寧々と、ですか?」
匡介さんが私とねねの会話の内容を気にするなんて思ってなくて、おもわず彼の顔をまじまじと見つめてしまった。そうすると匡介さんは気まずそうに視線を逸らしてしまうけれど……
もしかして、私はこの人に少しくらい関心を持たれていると思ってもいいのかしら?