桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「えっと、あの……?」
もしかしたらこれは店員の間違いなのかもしれない。そう思って匡介さんに目を向ける、そんな私の視線に気づいた匡介さんは「ああ」と頷いて……
「悪いがそれはこっちだ」
「え! あ、すみません!」
匡介さんの言葉にウエイトレスも一瞬ギョッとした顔を見せたけれど、すぐに作り笑顔でそのハニートーストを彼の前に置く。どうやら春の胸キュン・イチゴハニートーストは彼の注文したもので間違いないらしい。
山盛りのクリームに旬のイチゴが飾られ、イチゴのシロップをかけられたそのピンクのハニートースト。強面の匡介さんとの組み合わせに、違和感しか感じられないのに……
「杏凛、君は食べないのか?」
なんて当の本人はこれっぽっちも気にしてないのだから、そんな彼を一番近くで見ている私は我慢出来なくなってしまって。
今まで何度も匡介さんを見てきたのに、彼がこんな甘くて可愛いものが好きだなんて知らなかった。ずっと見たままのイメージ通りの人なんだと思っていたのに。
「ふ、ふふふ……そうよね、私ったらずっと……」
「杏凛? もしかして笑っているのか?」
匡介さんが私の顔を覗き込むようにしながら、その大きな片手で緩く結っていた髪に触れようとする。でもすぐにその手は引っ込められて私に触れることは無かったのだけれど。