桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「もう、奥様にだけ話すんですからね! 旦那さまや他の方には内緒ですよ?」
そう言って寧々が取り出したスマホの画面には、真っ白な可愛らしいうさぎちゃん。柔らかそうな毛並みを思いきりモフモフしたくなる。
「この子が私の愛しい恋人、雪兎です。今までずっと杏凛様が誤解してるのを見て楽しんでたのに……」
「そんな楽しみ方は止めて。それにしても本当に可愛いわね、実家では両親が私の事を気にしてペットは飼わなかったから羨ましい」
動物が嫌いなわけじゃない、だけど病気の事を気にするあまり両親も神経質になってしまっていて。もっと落ち着いたら、と思っているうちに結婚することになったから……
「別にここでも旦那様に頼めばいいんじゃないですか?」
「……無理よ、言えないわ。三年で離婚するのにペットを飼いたいだなんて」
その時に、どちらかがペットとお別れしなきゃいけなくなる。匡介さんはああ見えて優しい人だからきっと悲しむでしょうし。
想像したら何だか切なくなって、落ち込んでしまいそうになる。
「……それじゃあ、何か新しい事にでもチャレンジしてみませんか? ほら、このイケメン講師のいる料理教室なんてオススメですよ」
明るい声でさっきのチラシを私に見せる寧々、彼女のこういう優しさにいつも励まされてる。
「それって幼馴染の彼に頼まれたんでしょう? そりゃあ、行きたい気持ちも少しはあるけど……」
この家に閉じこもってばかりではいけないとは思ってて、外に出る機会を増やしたいのは本音だった。だけど、それを匡介さんが許してくれるかしら……?