桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「そうか、同じグループの女性と仲良くなったのか」
家に帰るまでは話しかけるのも躊躇してしまう様子だったけれど、匡介さんに言われるままソファーに座り渡された紅茶を手にすると彼から料理教室の内容について聞いてきた。
最初は料理の内容を話していたのだけど、香津美さんと月菜さんの二人と仲良くなれたことが嬉しくてついその事まで話してしまったの。
だけど匡介さんはその事にむしろホッとした顔をして……
「私はてっきり匡介さんは嫌な顔をされるのかと思ってました」
「俺が、なぜだ? 杏凛に心開ける友人が出来るなら、それは良い事だろう? まさかあの狭山 聖壱と二階堂 柚瑠木の結婚相手だとは思わなかったが」
香津美さんは狭山コンツェルンの御曹司である聖壱さんの妻、そして月菜さんは二階堂財閥の御曹司の柚瑠木さんの奥さん。
私は聖壱さんにも柚瑠木さんにも会ったことはありませんが、匡介さんは仕事上のお付き合いがあるそうで……
「匡介さんは私を籠の鳥のようにこの場所に閉じ込めたいのかと、そう思っていましたから」
外で自分の妻が病気で発作を起こしそれを周りの人に知られることも嫌なのかもしれない、いつの間にかそんな風に考えるようになっていた。
「……君を閉じ込めてるのか、俺は。そうか……すまない、俺は先に風呂に入らせてもらう」
また、言葉を間違えたかもしれない。きっと匡介さんだって私の為を考えての行動だったのかも知れなかったのに。私はソファーに座ったまま、また彼を傷付けたかもしれないと大きく息を吐いた。