桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
もしかしてこのメッセージは匡介さんからのデートの誘いという事だったりするのかしら? さっきの寧々の話を聞いた後だという事もあり、無駄にそんな気持ちになってしまう。
説明の無い匡介さんのあのメッセージではデートなのか、ただの用事に付き合って欲しいのかは判別できない。それでもその画面をもう一度確認すると、それなりに期待してしまったりもする。
私達はただの契約結婚でしかない、だけど私だって本当の夫婦のような二人きりのデートに憧れくらいはあって。
「どうしたんですその顔、真っ赤ですけど?」
「ひゃあっ!」
いつの間にか買い物から帰って来ていた寧々に顔を覗かれ、思わず変な声が出てしまった。彼女が部屋に入って来たのも気付かないくらい、私は匡介さんとの事を考えてしまっていたらしい。
「ねえ、寧々はこのメッセージどう思う?」
そう言って持っていたスマホの画面を寧々に見せてみる。寧々は両手に持っていた買い物袋をテーブルに置いてスマホの画面を確認すると……
「ああ、さっそく旦那様からデートの誘いですね? 噂をしていたのがバレたのでしょうか」
「このメッセージはデートの誘いなの? もしかして鏡谷家の集まりだったりするんじゃないかしら?」
もちろんそんな話は義両親からも匡介さんからも聞いてはいないけれど、まだ信じられなくて。そんな私を寧々は笑いを堪えるような顔をして口に手を当ててこう言った。
「そんな訳ないでしょう、それだったら私も聞いてるはずですし。それにそんな嬉しそうな顔をして、杏凛様だって旦那様にデートに誘われたって分かってるからでしょう?」
嬉しそう? 私は今そんな顔をしているというの? 相手はあの匡介さんだというのに、いったいどうして……