桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
約束の日曜日。
結局匡介さんからその日何をするという事を教えてもらうことも無く、その日を迎えてしまった。自分から聞けばいいだけのことなのに、もし自分の予想と違う事でガッカリしたくなくてずっと聞けないまま。
「出かける準備をしておいてくれ、俺は少し用事を済ませてくる」
そう言って一人でどこかに行ってしまった匡介さん、私はどこに行くつもりなのか知らないままクローゼットの中の服と睨めっこを始める。
この中には匡介さんに買ってもらい、まだ一度も着ていない服がたくさんある。
「これが映画で、こっちが動物園、そしてあのワンピースが……」
全部、匡介さんが二人で出かける予定を立てて選んでくれた服、だから私は今までこれらの服はそのままにしておいた。
寧々が言っていた通りならば、今日彼が連れてってくれるのは映画館という事なのでしょう。
私は匡介さんが映画に行くために選んでくれた細かい花の刺繍が施されたブラウスとブルーのフレアスカートを取り出した。
匡介さんはこの服の事をちゃんと覚えてくれてるかしら? 着替えて普段より丁寧に長い髪を結いあげ、メイクを済ませる。
するとちょうど玄関の扉が開く音がしたので、私はドキドキしながらリビングで匡介さんを待った。