桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
ピタリと匡介さんの足が止まった、もしかして彼は動揺しているのかもしれない。今まで私が発作で動けなくなった時以外、あまり病気について話をしてくることは無かった。
そのわりには彼の私の発作時の対処はかなり冷静で正しく行われていたのを覚えてる。
だから、もしかして両親か主治医である鵜方先生から話を全て聞いているのかと考えていたの。
「……もし俺がその事について知っていたとして、君はどうしたい?」
「どうって……それはどういう意味ですか?」
匡介さんが言いたいことが分からない、もし匡介さんがその事を知っていたとしても私にはどうする事も出来ないのに……
だけど匡介さんは、私が考えもしなかったことを口にした。
「……あの日の事を、どのくらい杏凛は知りたいのかと聞いている」
「あの日の事を、ですか? ええと、匡介さんからそんな風に言われるとは思いませんでした」
今まであれほど発作の心配をし、過保護になっていた匡介さんが私の病気の原因の話をしてくるだなんて。両親も友人もみんな思い出さなくてもいいと口を揃えて言っていた事なのに。
「変だったか、俺がその話をするの事は。杏凛がその事を知りたいと考えてないかと思うのは」
「変というか、意外でした。それならば今ここであの日の事を私に教えてくれるんですか?」
本当に知りたいと思っているのかは分からなかったけれど、なんとなく今の匡介さんの考えを聞いてみたかった。