桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
「……今は、まだ教えられない。すべてが片付いた後に、杏凛に話すつもりでいる」
「意味が、よく分かりません」
最初から話す気が無いのならば、わざわざ私に聞かなければいいのに。それとも匡介さんは私にそれを確認して何か確かめたい事でもあるのかしら?
ジッと匡介さんを見つめても彼は私から目を逸らすことは無い、彼はその言動にやましいことは無いのだと思う。
「すまない、必ずこの契約期間内にこの話もきちんと君にすると約束するから」
「そう、ですか」
強調された契約期間という言葉、つまり私達の結婚生活が終わるまでにと彼は言いたいらしい。ズンッと気持ちが重くなる気がした、だって匡介さんは普段自分からはあまりその言葉を使わないから。
別にこの結婚生活で特別に満たされているとかではない、だけどこうして一緒に暮らしてるのに簡単に終わりの話をされるのは嬉しい事ではない。
……それも今は私達夫婦で、二人きりのデート中なのだから。
「その話は、今日はやめてもらっていいですか?」
「ああ、杏凛がそういうのならば」
少し驚いた顔をされたけど、今日は構わない。自分の意見を伝えて、せっかくの匡介さんとの時間を大事にしたいと思ったから。
「はい、今は匡介さんとのデートを楽しみたいので」