魔法の恋の行方・魔女の告白(シリーズ4・バージルとレティシア)
<宿屋・17時30分>

バージルの目の前でレティは
5人分の夕食を食べた。
がつがつ、目の前の食べ物しか見えていないように・・・
フォークを使うのも、
もどかしいというように、
口に食べ物をガシガシ詰め込んだ。

バージルはあっけにとられ、
また喉に詰まらすと大変だと思い

「レティ!
もっと落ち着いて食べなさい!
食べ物は逃げない」
レティは口に詰め込んだまま、
うなずきうなり声で答えた。
「ううううう・・」

バージルは
本を読むつもりだったが、
その手が止まっていた。
レティの食べっぷりに
驚きを超えて、あきれていたから。

まるで野生動物のように、ひたすら集中して食べている・・・・・
観察しているとおもしろいのだが。

ふと、フォークの動きが止まった。
そのまま、
レティの頭がガクッと下がった。
そして指先からフォークが転がった。
「レティ・・?」

寝落ちしていた。
もう少しでレティの顔面と皿が
激突するところだった。
バージルがすかさず、皿を引いたので、何とかなったが・・・

「ああ、眠ってしまった・・・」
おかみさんが面倒くさそうに聞いた。
「先生、
この子をどうするつもりですか?」

バージルは本を閉じた。
レティはうつ伏せになって
動く気がない。

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