魔法の恋の行方・魔女の告白(シリーズ4・バージルとレティシア)
レティは・・
顔立ちは子どもにしては整っているように見える。

特に瞳の色が青緑で美しい・・・
深い森と湖を思い出す
珍しい色合いだ。

肌はまるで日に当たった事がないように、
透明感がある・・・
貧血ぎみなのか
ぱさぱさ、ツンツンの赤い髪は、
もう少し深みを増して
落ち着いた色合いになればきれいだろう。

・・あと数年したら、
美しい娘になるだろうか・・・・

数年したら客を取るようになる・・
おかみさんの言葉を思い出して、
バージルはため息をついた。

レティはもじもじして、
バージルと目の前の皿に視線を交互にやった。
目の前のベーコンとパンの誘惑に
負けまいとしているのがわかる。

「いいよ、食べなさい」
「いただき・・ますっ!」

レティは挨拶するやいなや、
両手でパンをわしづかみにして、
口いっぱいほおばった。
まるでリスみたいだ。
バージルは別の意味でため息を
ついた。
まず、食事マナーを教えなければ・・・

バージルがコーヒーを飲み終わるまでに、
確実にレティは5人分を食べ終えた。
おかみさんは
信じられないという顔で、
こちらを見ている。
「まぁ、あのちっこい、ほそっこい体でよく入るもんだねぇ・・」

「はぁ、ごちそうさまでした」
レティが息を吐いて、
皿を重ねて満足げにナプキンで口を拭った。

バージルはおかみさんに合図を
して、
6人分の朝食代を支払った。
おかみさんは愛想笑いをしたが、
いかにも<あきれた>という様子で台所に引っ込んだ。

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