魔法の恋の行方・魔女の告白(シリーズ4・バージルとレティシア)
<教会の庭・11時45分>

「バージルは、女とやったことがあるのか?」

レティのいきなりの
予想だにしない質問に、バージルは息を飲み思わず赤くなった。

なんでこのような事を、
子どもに言われなくてはならないのか!!!

バージルは強い口調でたしなめるように言った。
「レティ!
子どもはそういう事を言うものではない!!
大人に対して失礼だ!」

レティは
その強いバージルの言葉を、
まったく無視して山並みと小高い丘の方を見て言った。

「・・やった事、あるのか・・・」
バージルは怒りを感じた
この子はなぜ・・育った環境だろうか。

ふと、おかみさんの言っていた言葉が浮かんだ。
<親に売春宿に売られて・・>

バージルの怒りは憤り(いきどおり)に変わった。
もしそうなら、
子どもでいられるはずはないだろう・・
誰も守ってくれない。

ようやく咲きかけた花のつぼみを
踏みにじるように
無理やり大人にされてしまう・・・

バージルは深くため息をついて、
レティを見た。
・・やりきれないな・・・
この子が悪いわけではない・・・

それを振り払いたくて、バージルは言った。
「お昼にしよう。お腹が空いているだろう?」
「うん!」
レティは本当に子供らしい、
嬉しそうな笑顔で答えた。

サンドウィッチを口いっぱい頬張るレティは楽し気だった。
その姿を見ながら、バージルは考えていた。
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