魔法の恋の行方・魔女の告白(シリーズ4・バージルとレティシア)

森の石碑(3-5)ページ

<森の石碑・14時>

今回の石碑のある場所は、鳥のさえずる声しかしない
道からはずれた寂しい場所だった。

バージルは石碑の文字に紙を当てて、木炭でこすって
写し取る作業に没頭していた。

石碑にはもう誰も読めないであろう、文字が多く刻まれていた。

誰が何を書いたのだろう・・・
何を伝えたかったのか・・・

古代の人の伝えようとする微かな(かすかな)言葉のかけらを
想像しながら写す作業は楽しい。

バージルは腰を叩いて背伸びをした。
さすがに中腰での作業はきつい。

懐中時計を取り出して時間を確認すると、もう2時を過ぎていた。

空腹と喉の渇きを体が訴えている。

バージルは大きい石の上に座り、
水筒の水を一口飲んだ。
そしてナプキンに包んであった
サンドウィッチをほおばった。

空を見上げると、黒っぽい雲が広がっているのが見えた。

雨雲になりそうだ・・
早くしないと降ってくるな。
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