魔法の恋の行方・魔女の告白(シリーズ4・バージルとレティシア)
「バージル・・怖いよ・・
明かりがつかない・・」
バージルはかがんで、レティにろうそくを差し出した。
「これを持っていきなさい。
しばらくしたら停電も復旧するから」
レティはストールを握りしめて、
大きく首を横に振った。
「その・・一緒にいては・・
だめかな?」
子どもにとって暗闇や雷は怖いだろう・・
ましてやここは古い館だ。
バージルはうつむいているレティに言った。
「わかった・・いいよ。
君はベッドを使いなさい。
私はもう少し本を読むから」
レティはほっとしたようすで
うなずいて、すそをずるずる引きずりながらベッドにのぼった。
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
バージルは窓際のカウチに横になり、本を広げた。
次第に雷が遠ざかり、風の音も弱くなっている。
バージルも眠気が襲い、うとうとし始めた。
午前2時過ぎ頃だろう。
電気が復旧し、部屋の明かりがついた。
バージルはその明かりで、目が覚めた。
レティを自分の部屋に戻すか、
客間を使うかだな・・・
バージルはカウチから起き上がり、レティの様子を見にベッドに近づいた。