魔法の恋の行方・魔女の告白（シリーズ４・バージルとレティシア）

「クッキーがあるけど、食べるかね」
バージルが女の子にクッキーを差し出した。

女の子が反応した。
手を口に当てて、
小さくうなずいたように見えた。

「こっちにおいで」

しかし、かなり警戒しているのがわかる。

まるで野生動物の餌つけのようだな・・・
バージルは苦笑した。

女の子は木の幹から恐る恐る、
出ようか迷っているように見えた。

それを見てバージルは声をかけた。

「私は作業の続きがあるから・・
ここに置いておくよ。
食べなさい」

バージルはそう言うと、
木炭を紙を持って立ち上がった。

雨が降る前に作業を終えたい。

バージルは女の子に背を向けて、
先ほどの石碑の方に向かった。